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SankeiBiz:インド、ダージリン茶農園に迫る変化の波 担い手減少、乱開発で進む森林破壊

茶園の人手不足は新興国共通の問題?

今年に入り、インド・ダージリンでの人手不足のニュースが入ってきました。
去年、ダージリンでは賃上げ要求のストライキが発生しており、それと関係して、作業待遇が良くもっと給料の良い職業に移ってしまうという事情があるようです。
実際、ここ数年、紅茶の国際価格は上昇傾向にあり、今後も伸び続ける傾向にあるでしょう。
茶園の人手不足は、インドだけでの問題でもなさそうで、去年の3月に流れたニュースでは、中国の茶園でも人手不足が深刻な問題になっております。

ここ数年、『中国の明前茶の単価が上がっている』という話も聞きます。
原因は、こちらも経済発展に伴い、重労働の茶園の仕事から他業種に移っていったり、産地が田舎なので若者が戻ってこなかったりと労働力そのものが少ないそうです。

スリランカも最近経済発展がめざましく、その傾向が現れてくる可能性もあります。
紅茶の産地は新興国が多く、その傾向から抜けられないのでしょうか。

茶園の労働力不足は日本も通った道

日本も昔は茶園に多くの労働者を抱え、人力で詰んでいました。
今は、ほぼ家内作業で行い、日本のお茶を支えています。
その原動力となったのは、徹底した機械化でした。
今は、お茶業界の市場縮小に伴い撤退も示唆している会社もありますが、茶業は圧倒的に機械化が進んだ業種です。
その機械に合わせて山の形状まで変えて茶園を開拓した地域もあります。
大型の機械が入れないのは、明治以前から茶業を行っている産地くらいと言えます。
ただ、その分手で持って作業ができる機械も発達してきました。
製茶する上で、一芯二葉を丁寧に摘める機械を使い刈り取りを続けていたという点は、日本の煎茶業界がどこまで機械で商品のバリエーションを増やせるかという挑戦でもあったでしょう。

今諸外国は基本、人手による手摘みです。
その人件費の安さと大量に動員できる環境上、日本のような人件費の高い産地を圧倒できました。
(といっても、茶産地で日本ほど人件費が高い国が珍しいのですが)
これから人件費が上がるからといって、生産量を落とすわけにも行かないでしょう。
日本が歩んできた道を各国とも歩くと思われます。
去年か一昨年のニュースで、アフリカの産地の要人が日本に視察し、茶摘機を体験したというニュースが流れていました。
日本で培った茶業機械化の技術が世界に向けて拡散されていく時期に入ったといえるでしょう。

日本人としては、頼もしいことではありますが、これでますます『手摘みの紅茶』というもののプレミアムが世界的に上がってしまうのかなと思うと、複雑な気持ちではあります。

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