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分類のおさらい

国産紅茶の風味・味分類には大きく3つに別れます。

  • 香ばしい味
  • 華やかな味
  • 深く濃い味

香ばしい味は、玄米のような穀物を連想するような優しい香りで
華やかな味は、花や若草のようなさわやなだったりほんわかするような香りで
深く濃い味は、渋みがきっちりとどっしりした香りと深い味わいの紅茶です。

自分が今現在持ち得るストック89茶園180商品の中で、
該当をするものを紹介して、それらをひと目でわかりやすくまとめることで
今後の参考に役立てて欲しいなと思ってます。

なお、当ショッピングサイト『京都紅茶道部紅茶仲介部』でも購入可能なものも
書いていきますので、そちらも合わせてよろしくお願いいたします。

(以上、前日の冒頭の転載でした。以後続きます)


『深く濃い味』の考察

このタイプの特徴は『香ばしく香りが濃く味がきっちりしている』点です。
他のタイプと大きく違うのは、牛乳にも砂糖にも負けない力強さがあります。
人によっては『コーヒーの代わりになる濃さ』と例えられる場合もあります。
軽い感じの紅茶はちょっと・・・ という方にはこのタイプが大変オススメです。

~【三重】川戸紅茶:パール紅茶(緑)~
戦前からの国産紅茶の製造を引き継ぎ、地元亀山で『オレンジ・ペコー』という喫茶店を開いていらっしゃる川戸紅茶さんです。
こちらの紅茶は、べにほまれというインドから持ち帰った茶の木の選抜紅茶品種を使ってつくっており、血統的に『最も海外の紅茶と同じもの』と言えるでしょう。
その品質の高さは、国内の紅茶ファンのみならず、海外のファンをを引き付ける物があります。
味の濃さと香りの立ち方は、海外の紅茶に匹敵し、元々は輸出用に使われていたのが納得行く紅茶です。
この紅茶が、次の時代にも伝えられたり、もしくは地元三重を中心に広まって国産紅茶の品質向上の起点になってほしいなと常々思っています。

~【静岡】不二農園:聖心の紅茶~
こちらの紅茶は、学校法人が経営している茶園で作っている紅茶です。
品種は国産紅茶の父『多田元吉』の名を冠した『ただにしき』という品種です。
この品種も海外から持ってきた品種で、元々は輸出用に作られていまいた。
べにほまれと同じく一時期は完全消滅一歩手前まで行ったのですが、有志の方々の尽力により消滅せずに残っています。
この紅茶は長く抽出する必要はあるのですが、甘く深い香りに、飲んだ後の上がってくる香りの華やかさから、紅茶の優しい力を感じることが出来ます。
じっくり時間をかける毎にその姿をあらわす様は、まるで優雅に振る舞う淑女のような佇まいです。
(口が滑った)

~【大分】高橋製茶:和紅茶by吉四六の里~
この紅茶を作られた高橋製茶さんは映画『種まく旅人~みのりの茶~』の元になった茶農家さんです。
その方の初の紅茶なのですが、初めてには珍しく茶葉の出来もよく、発酵も適度に上がってました。
紅茶もカラメルに似た甘くて香ばしい香りが立ち、まるでコーヒーのような風味に仕上がってます。
今後も注目です。

~【島根】西製茶所:出雲の国のべにふうき紅茶~
西製茶所さんは、雪の降る日本海側で品質の高い紅茶を作っていらっしゃる茶園さんです。
レギュラーブレンド『出雲の国産紅茶』は、全体的に『滋納』に相当する系統の香りをするのですが、このべにふうきやべにひかりなど品種紅茶は、香りが特徴的で甘く濃い紅茶に仕上がってきます。
時々デパートの健康食品系のお店で扱われることが多いので、見かける機会のある方は必見です。

~【熊本】天の製茶園:天の紅茶~
天の製茶園さんは、多分いま全国的に一番検索が増えていて注目度の高い紅茶だと思います。
色目も深く、香りも味もしっかりとしていて、紅茶ということも疑うくらいの濃さでした。
『望蘭』というジャンルに敬遠する方もいらっしゃいますが、川戸紅茶と同じく天の紅茶もこの『望蘭:濃く深い味』の頂点と言えるでしょう。

最後に

国産紅茶は、1971年昭和46年に紅茶の輸入自由化によって一度消滅してしまいました。
奇しくもその後生活水準と経済拡大に伴い、紅茶の消費と輸入、そして改植された後の緑茶の生産と消費は、過去最大の拡大を見せることになります。
そして、今では緑茶は全国で8万トン超、紅茶の輸入量は1万6千トンあまりです。
この国では毎年約10万トンものお茶が消費されますが、国産紅茶は去年ベースで100トン前後でしかありません。
全国の茶農家さんが紅茶作りにチャレンジするのはこういう状態を考えても嬉しい限りです。
海外の紅茶を目の敵にするわけではありませんが、国産紅茶の復興はここ数年落ち込んでいる茶業界すべての起爆剤になりえるかもしれません。そのためには『飲む人たちの生活の選択肢の一部として認識される』ということが大事になります。
人間はそもそもどんないいものでも『知らないものなら手に入れない』という習性があります。
知っているからこそ興味が示され、知っているものを誰かが持っているからこど価値を感じます。
飲む人にとってはもしかしたら未だ『国産紅茶』という統一認識がないのかもしれません。
『~紅茶というどこどこの紅茶を、誰々が飲んでるから』という理由で惹かれるのかもしれません。
その前に『~紅茶』という認識がないと、『誰々が飲んでる』という現象は出てこないでしょう。
ですが未知のものが売れたという例が昔ありました。
あるアイドルが『痩せるために烏龍茶を飲んでいる』と言われた、輸入量が爆発的に増え、一気に認知が広まりました。
国産紅茶も同じ現象が起こるとはいえませんが、あれは『烏龍茶だから売れた』のではなく、『お茶という知っている物の中に烏龍茶という未知の分野があってそれが売れた』という現象です。
国産紅茶も同じように『お茶』としては認識されると思います。
それが『お茶という知っているものの中の国産の紅茶が』という状態に消費者に認知される事が、今後の目標にするべきことかと思います。
多分『お茶という知っているものの中の国産紅茶を知っている誰々がよく飲んでいるから、自分も飲んでみたい』という拡散が全国的に広まる日が来ると思います。
そして、それを飲んでその人の好みと合致することで、飲み手に定着し、選択肢の一つとしての立場を得ることになります。
そのために、各々の嗜好・味の好みに合ったバリエーションが必要となってきます。
国産紅茶の中にはもうすでに今のライフスタイル・食生活にマッチングする品質やバリーエーションが存在しております。
それをいかにマッチングさせて、気軽に取り入れられるような環境にするか、それは僕らのような仲介屋の仕事でもありますし、直接アピールできる農家さんの仕事でもあります。

飲み手にいかに寄り添えられるか。

消費者の飲み物の1割が国産紅茶になる日。
それが、事実上の国際市場となっている日本の嗜好品業界での国産紅茶の成功の立ち位置じゃないかと僕は思ってます。
国産紅茶の復活は、まだまだこれからです。

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