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日本の企業は日本だけでお茶を作ってるわけじゃない

歴史の部分で、『台湾取得による三井農林のプランテーション開始』とか書きました。
戦後、日本が係るお茶の生産は、日本国内だけになったと思いがちになります。
つい最近までそう思ってました。
それどころか、『日本の農業は生産まで国内で完結するもの』とさえ思ってました。
TPPの交渉・参加に揺れる日本国内で、実態は実は少し違うようです。

海外生産を知るきっかけは震災

震災と原発事故以後、諸外国で『日本の農作物は放射能汚染で危ない』という評価をされ、調子が上がっていた『高級農作物』としての日本の作物が禁輸という憂き目に遭いました。
その後に、日本の緑茶は欧米に人気が出ていて輸出されていることを知りました。
ですが、残留放射性物質検査の強化の結果、日本のお茶は輸出できません。
しばらくは、様子見になるのか、茶業界は持ちこたえられるのか、と思っていたのですが、この事故以前に大企業が海外に生産の地を作っていたのです。

≪日本企業の豪州戦略≫

この記事では、伊藤園のオーストラリア生産が取り上げられてます。
緑茶において、もっとも魅力的な『新茶』が日本の半年遅れで取れると言う事です。
市場の取引にかけても、今のシステムでは高値はつくことはないでしょうが、お客さんに対する訴求力は高くなります。
紅茶でも同じで、今は生産地のほとんどが北半球に固まっているため、一年の商品の流れは同じですが、インドネシアやケニアそしてオセアニアや南部アフリカ、南アメリカなど、栽培の余地のあるところの生産が、大国インド・中国・スリランカなどに切迫してくれば、ダブルシーズンでの製品流通という選択肢も出てくるでしょう。

再び『海外で生産する日本の紅茶』という選択肢もある

僕は『日本で消費する紅茶は日本で』というのが持論です。
ですが、それは各国にも言える話で、お茶は農作物なので可能な限り生産地から近い地域での消費が望ましいのです。
幾度かの波があるとはいえ、新興国の経済発展は目覚ましいものがあります。
日本でもそうであったように、経済的余裕が出てきて、中間層が増えれば、嗜好品にかけるお金も増えていきます。
その時に選択される中にお茶が入ってくるでしょう。
その時に、生産地から大量の輸出品としてお茶を送ると言う事が考えられますが、元来輸出は、政治的・輸送的・管理的にもコストの高い作業です。
大航海時代の昔は、お茶は高級品でしたが、お茶というのは、今や日常的に飲む普及品です。
利益を出そうとすると必然的に、大量輸送・大量販売が基本となり、生産地での単価の向上に寄与できなくなります。
もちろん、輸出のコストが乗りますので、消費地にとっても安価な日常品という位置づけが厳しくなる時期も来るでしょう。
そして、経済規模が高まると必然的に『国産のもの』への需要が高まります。
現地生産なら、為替や各種情勢の影響を受けにくく、国際価格の乱高下の影響も受けにくくなります。
金融の世界では、輸出はできませんが、現地に投資をしてその金利ないし配当を受け取ることで利益を出しています。
どうしても、お茶が生産できないという所ではないのであれば、消費地に一番近い所に拠点の茶園を経営して、その利益を日本に持ち帰ってくるという手法でもいいのではないかと思います。

商品を売ることは大切でしょう。
ですが、倒産したり経営が苦しくなるのは、商品が売れないからではなく、お金が入ってこないから起こるものです。
日本では、農業の開発・研究技術は非常に進んでいると思います。
その結果を、現地の人に教えるのではなく、同じ会社で一緒に働いてその利益をお互いに享受するシステム構築こそが、日本の農業の生きる道の一つではないかと思います。
『搾取せずに共生する』というのは、歴史を紐解いても日本人が最も得意とする分野です。
(得意すぎて、あっという間に現地化してしまった所もありますが)
お茶はみんなで楽しむツールである。という考えに立ち戻るなら、生産から現地の人と共に関わる方が、その国の文化になりやすいですし、将来的には茶園を中心としたアグリツーリズムなど日本で起こっている事例がそのまま起こりうることもあるわけです。

近い将来として考えるなら、農作物の輸出よりも、『栽培・製造技術の輸出』がお茶だけに留まらず、日本を始め世界の農業にとっていいのではないかと思うわけです。

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