和紅茶 ・ 国産紅茶 情報サイト 京都紅茶道部|和紅茶 ・ 国産紅茶 の為の総合情報ポータルサイト

京都紅茶道部

全てが全て同一に並べるべきではないのでしょうが、海外産であろうが国内産であろうが、消費者が買い時は同じ財布で、飲む時は同じ口なので、ここで比較をさせていただきます。
価格第一主義というわけではありません。
ただ、それを踏まえて『この品質の紅茶は、本当にこの価格でいいのだろうか』と考えていただければいいと思います。
国産紅茶の競争相手は飲み物全部です。
ですが、それでは比較ができないので同じ陳列棚にならぶ『紅茶』で考えていきたいと思います。

海外の紅茶の価格

紅茶価格の推移 - 世界経済のネタ帳

『海外の紅茶の市場価格は大体1kg3$です』
ちなみに、これを言うと嫌がる茶業界(特に紅茶)の人がたくさんいますが、
これは前提で言わないといけないことです。
もちろん、この価格で消費者が買えるわけがありません。
業者が何百トン単位で買い付け、それを輸送して税関を通して、国内で分別作業をして、商品梱包をして、流通して、小売店に並びます。
その間で色々作業や利益が入りますから、結果として店頭に2gティーバック50袋入って298円とかで売られます。つまり、100g300円約10倍になります。
これが、いわゆる『紅茶の普及品』の価格です。
品質のいいものは、もっと高い値段で取引されますし、茶園単位で特級クラスのお茶は、アラブの富豪が市場に出る前に買い占めるという事もされてます。
紅茶の大生産地のお膝元では、この国際価格付近、もしくはそれ以下の価格で取引されており、インドのチャイのような国民飲料になっているという事もあります。

国内の紅茶の価格

一方、国産紅茶の価格はといいますと、今のところ平均値を出してみると、100gあたり1200円ぐらいに相当します。
ただ、100gで売るのではなく、50g6~700円前後で販売している場合が多く、日本の紅茶の平均年間消費量が大体250g程度なので、そんなにもむちゃくちゃな設定というわけでもありません。
ただ、紅茶にかかる年間金額約800円に対して考えると、100gあたり320円が消費上の基準価格になり、流通している国産紅茶は価格設定上『良い所の茶葉』と匹敵する価格になってしまいます。
緑茶のメインの茶葉の取引価格が1kg300円ぐらいなので、直売に近い形であるならば、1kg3200円と取引価格よりも高い金額で設定できます。
ですが、それが毎年10tとか100tとか売れればいいのですが、今全国の国産紅茶の生産量は100~200tです。
『量を少なく、利ざやを高く』と考えるのであれば、100g1200円前後も致し方ない選択だと思われます。

日本国内は国産紅茶が直面する最初の国際市場である

某3代目の国産紅茶

国産紅茶がまず直面するのは、『その価格帯の海外の紅茶との比較』です。
国産紅茶の歴史でも書きましたとおり、日本の紅茶は価格は然ることながら、品質で海外に負けて縮小されていった経緯があります。
この『100g1200円』紅茶、海外のものと比較したら、どのようなものと比較されるでしょうか。
まずは、紅茶専門店の紅茶の50g袋6~700円の中級クラスのものと比較されます。
そしてスーパーでも、トワイニングやリプトンの缶のものと比較されます。
最低、そういうものと飲み比べて、負けない商品でしょうか。
今の段階では『日本でできた珍しい商品』ということということで売れます。ですが、消費者は『より美味しくて安いもの』を目指します。
一部の人の行動ではなく、一般的な行動です。
そうすると国産紅茶は一般的にならず、一部のファンのみで消費されるのが安全ということになります。
ですが、市場の拡大と一般認知が行われず、マーケットとしては疲弊していくことでしょう。
ですが、地元生産地元消費と考えるのであれば、手堅い戦略です。
『売れなければ海外』も安直で、結局前回の紅茶輸出と同じ末路になります。
今、製造業では日本回帰が起こってます。
『世界で一番重箱の隅をつつく日本人に鍛えられた商品は、世界でのフラグシップ機として高価格で売れる』というものです。
これは日本で売れることを念頭に入れているのではなく、一定の目標を持って商品開発している事例です。実際、日本では赤字だというところもあります。
日本人に鍛えられるということには、価値があると捉えているのが世界です。
日本と違って、海外の茶市場は品質によって取引される市場があります。
品質の良い物を作れば、その品質のものを集めて高価格で取引されます。
今まで通りの紅茶を作って、世界でも日本でも『1kg300円』の市場に戦いを挑み続けますか?
それとも、高品質な紅茶を作って日本を始め世界に認められる紅茶を作り、好きな金額を付けますか?
経営戦略しだいでどちらでも生き残ることはできます。ですが今の『個人茶園』ばかりの日本で、どちから有益な方法でしょうか。
選択の日はもう目の前に迫ってます。

メルマガ購読・解除