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まずは4月末から緑茶を作る

お茶ずきのみなさんは『八十八夜』というのはお聞きになったことがあると思います。
お茶でいうと『お茶を摘むには最も適した時期』ということになります。
冬の間、茶の木は凍結を防ぐためにたくさんのアミノ酸を中に保有します。
これは茶の木だけに限らず野菜でもある話で、冬に取れる野菜は甘いという事も言われます。
水分量に対して不純度を高めていくと、沸点が高くなったり氷点が下がったりします。
メカニズム的には、それを利用しています。
気温も緩んで、日照時間も長くなると、そのアミノ酸は成長のために一気に葉に移動します。
結果、一番茶がアミノ酸が多くなり、甘味が多くなるというわけです。
ちなみに、そのアミノ酸が日光を浴びるとカテキンに変化します。
アミノ酸のままだと劣化してしまうのでカテキンという防御癖を作ることで、自分を守っているのです。

新茶というのは、そういう冬を越えてきた『甘いお茶の収穫』を意味します。

茶園さんの生活は新茶にかかってる

日本人は『初物』というのが好きです。
お茶にも初物というものがありまして、それが八十八夜を中心とした『一番茶』の時期になります。
丁度の時期から、全国の茶市場が開き初めまして、そこでご祝儀相場が付くわけです。
高いものでは、1㎏3万ほど。
それに合わせて、品評会に向けて茶摘み・製茶が行われます。
品評会で上位をとることができれば、その茶園のお茶は1年間高評価を得られ、比較的高く取引されることになります。
(すべてがというわけでもありません。そういう茶園でも安くおうとする問屋はありますから)
この一番茶の取引において、最高値を付けた後、急速に価格を落とします。そして2番茶が出始める6月には、1kg400円台まで落ち込むのです。
お茶農家としては、この新茶のシーズンに『高値で、大量に』提供することが、1年の生活を決める重要な作業となるのです。

紅茶生産は早くても6月中旬から

紅茶生産は、その後に位置づけられます。
1番茶が落ち着いたら開始する人、もしくは2番茶を紅茶にする人、様々です。
一つ言えることは、紅茶専業で行っている人以外、一番茶を紅茶にすることはほぼありません。
紅茶つくりは、まず緑茶ありき、というのが現状です。

国産紅茶のファーストフラッシュはメリットが少ない

理由の一つは、先ほどの緑茶との兼ね合いです。
緑茶はすぐに現金化できます。
紅茶は、すぐには現金化できません。
紅茶には大規模に買い取るというシステムがまだ存在していないので、茶園が売ることまで考えないといけません。
他の理由としては、緑茶を目的でお茶を栽培しているため、それをそのまま紅茶にすると、不完全な紅茶に仕上がります。
テアフラビンに変わるはずのカテキンが少なく、味の邪魔になるアミノ酸が多く含まれる紅茶です。
製品としても目指しているものではないので、1番茶をちゃんと作る茶園さんには紅茶のファーストフラッシュは時期的にも品質的にも向かないと言う事になります。
結果として作業が終わって2番茶の準備をした後それに合わせて茶の木の手入れをすることになります。

緑茶と紅茶は、真逆のようなものです。
緑茶はアミノ酸を多く含むものが好まれ、紅茶はカテキンが多く含まれるものが好まれます。
緑茶は酸化していると商品にならず、紅茶は酸化をさせてないと紅茶ではありません。
一番茶に緑茶を据えている現状としては、この茶葉で紅茶を作るのは向かないと言う事になります。
海外では、ダージリンのファーストフラッシュ(一番茶)などが高値で取引されます。
日本の緑茶と同じでお祭りという要素もあると思います。
なので今の日本において、紅茶を中心に据えるべきとは思いません。
安定的に紅茶を作る為には緑茶の生産というのが土台としてある事が重要であると思います。

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