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気候変動 苦渋のアッサム茶園

気候変動 苦渋のアッサム茶園(読売新聞)

世界的に有名な紅茶「アッサムティー」の産地インド北東部アッサム州で、気候変動による気温上昇や不安定な雨量が茶の生育に影響を及ぼしている。

 「放置すれば50年後の生産量はほぼゼロ」との悲観的な予測もある。地元の研究者が茶園業者と協力して対策に乗り出している。

 「年々暑くなり、働くのがつらい。新芽が出るのが遅く、色つやも悪い」。茶摘み歴10年のリタさん(27)が話した。視線を落とすと、木々の隙間が少し広い。「死んだ木を抜いたから」。リタさんは昨年、1日あたり35キロ収穫したが、今年は20キロしかないという。

 何が起きているのか。州が支援する研究機関「トクライ茶研究所」のアドバイザー、バルアさん(58)が解説する。「お茶が天気にいじめられている。暑すぎて呼吸困難。洪水でおぼれ、少雨でひからび、新種の害虫に襲われる」

 アッサムティーの生育に最も適した環境は、気温が最高32度、最低8度、湿度が高く、年中降雨があり、特に6~10月に多く降らなくてはいけないとされる。ところが2000年代後半から気温が40度前後まで上昇する日が増え、降雨の時期も定まらなくなってきた。暑さで新種の害虫も増えた。今年は4月に大雨が続いた。川岸の低地にある茶園は軒並み洪水被害に遭い、良質な土壌が流された。
ただアッサムティーの生産量は増加している。インドの紅茶生産量は年間約120万トン(2013年)で、前年比8万トン増。このうちアッサムは約61万トンで前年比2万トン増。インドの紅茶生産のほぼ半分を占める。増えているのは、州政府の補助で新規参入する小規模茶園が増えているからだ。バルアさんは、「それぞれの茶園の収穫率はむしろ落ちている」と指摘する。

 同研究所のバガット副所長は「気候変動は残念ながら避けられない。ならば、できるだけ適応していくしかない。ただし、環境にやさしい方法で」と言い切る。

 具体的な取り組みはすでに始まっている。最も簡単な対策は、新しい茶園をつくる際、苗木と一緒に日陰をつくる大きな木を植えることだ。これまでも行われたことはあったが、バガット氏は「徹底すれば効果はかなり上がる」と各茶園に実施を呼びかけている。

 また、不規則な降雨対策として、雨水をためて灌漑かんがいに利用するシステムを構築した。導入したイスラムさんは「毎日一定の水量を確保できている」と満足げだ。害虫対策では、天敵の昆虫を放ち退治できないか研究中だ。

 研究所では、気候変動がさらに進行した場合を見据えた実験も行っている。アッサム州は今後、高温少雨が極端になり、乾燥化が進むと予測されている。バガット氏は、二酸化炭素濃度が高い部屋や気温45度の部屋で茶の栽培を試み、耐性を調べたり生存法を探ったりしている。暑さに強い品種への改良も検討中だ。

この土地で、気候変動による環境変化があっても、それに適応し、強く育つお茶を守っていきたい」と話した。
(引用:読売新聞)

アッサムでの気候変動 日本も他人ごとではない

日本でも一年を通して気温が高くなったり、天気が不安定になったりと色々あります。
お茶は熱帯植物なので、日本が温暖化すれば北限が伸びるかもという話もちらほら出てきますが、それ以前に台風の通り道なので、今の段階では沖縄や九州南部が直撃しているという状態がもっと北上して被害が増えるという予想もされます。
沖縄に国産紅茶をと乗り出した沖縄ティーファクトリーさんも、台風被害には随分悩まされたようで、今でこそ全国的に高級国産紅茶で有名でありますが、それまでの追加融資や諦めて離れていく協力農家など苦労が人一倍あったと聞いています。

このアッサムの記事は、本来は昔までの日本と同じように夏は30度あたりに最低気温は高めで8度という温暖な環境下で育ててきた紅茶が、近年最高気温が40度前後になり雨も不定期で大雨が茶園を流すという被害が出る状態とあります。

記憶にあたらしいと思いますが、静岡天竜の茶園さんの土砂崩れのニュースを思い出していただければわかると思います。
あのようなことが日本中で起こると、日本のお茶は大打撃を受けます。
静岡や九州のような、山を削って整地した大産地でさえあのような状況が予想され、ましてや古くからお茶を作り山肌に沿うように育てられている急勾配の宇治茶地域などは、一度あのような事故が起こってしまったら、復旧は大変困難と思われます。

気候は変えられませんが、それを認識した上で対策や対応をすることは可能です。
今後不安定な気候が日本を襲うとかんがえると、アッサムは対岸の火事ではなく、まさしく自分たち日本のことと捉えて考える方がいいでしょう。

全国での茶業離れが未だ止まりません。
ドリンクとしての茶飲料の需要増加や国産紅茶の人気もあってなんとかなっているところもありますが、それでもまだまだ焼け石に水状態です。
これから、家族形態の茶業は大規模化が進むのかそれとも消滅してしまうのかはわかりません。
ただ、この大きな気候変動の対応に個人単位で対策は難しいというしか無いでしょう。
日本のお茶を守るためにも、大きな枠組の作り替えは急務なのかもしれません。

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